温間圧造は、材料を常温で加工する冷間圧造と材料を再結晶温度にまで加熱して加工する熱間圧造の中間の圧造加工方法です。
冷間では圧造しにくく、熱間では加工精度や生産性において問題があるような場合に用いられ、400度程度へ材料の温度を一気に上げ、圧造加工を行います。
メリット | 冷間圧造に比べ、頭部を成型する金型であるパンチと首下を成型する金型であるダイスの磨耗が比較的少なく、金型交換の回数が減る為、コストメリットを出すことができます。 |
デメリット | 冷間圧造に比べ、寸法の精度が出にくいという性質があります。 |
ステンレス鋼はクローム(Cr)を含んでおり、一般工具鋼の金型材との親和性が高く強度も高くなる為、使用する工具の摩耗が激しくなります。
また、オーステナイト系ステンレスには冷間加工によって硬化し、弱い磁性を帯びるという性質があります。
その為、SUS304などオーステナイト系ステンレスの圧造加工品で非磁性維持・工具消耗減・加工硬化防止による後加工のしやすさを目的とした場合、冷間圧造よりも温間圧造の方が適していると言えます。
圧造加工品では冷間圧造加工が主流となっていますが、温間圧造は高度に温度管理された設備によって生産が可能となった、比較的新しい加工方法です。上記のメリットを生かし、今後拡大していく可能性を秘めています。