鋼とは、鉄を主成分とする合金を指します。炉で溶解された鋼は鋳型に注入され鋼塊として製造されます。
鋼塊の際、溶鋼中に多量の酸素が含まれてしまう為、出鋼前に脱酸剤を加え酸素を出来るだけ取り除く
必要があります(脱酸)。その脱酸の程度により内部組織・性質の異なる
●キルド鋼 ●セミキルド鋼 ●リムド鋼
という3種類の鋼が出来上がってきます。
キルド鋼は、フェロシリコンやアルミニウム等で脱酸が十分に行われている為、内部に不純物が少ない鋼です。
気泡が無く組織は大体均一で優良な性質を備えています。その為、キルド鋼で作られる鋼は、品質は優れて
いますが、圧延歩留りが悪いため、比較的高価な鋼と言えます。脱酸が十分な為、固まる際のガスの放出が
なく静かに凝固します。死んだように静かな鋼、酸素を殺す(Killed)という意味でキルド鋼と呼ばれています。
●脱酸剤による分類
フェロシリコン ・・・
|
シリコンキルド鋼 SWRCH10K等 ※ボルト・小ねじ等に使用される |
アルミニウム ・・・
|
アルミキルド鋼 SWRCH8A等 ※タッピング等に使用される |
セミキルド鋼は、キルド鋼とリムド鋼の中間程度の脱酸を行った鋼です。
リムド鋼は、添加材を使用せず、キルド鋼に比べ脱酸が十分でない為、内部に炭素・リン等の不純物が残り
品質が一定しません。しかしながら、圧延歩留りが良い為、キルド鋼に比べ安価な鋼といえます。
脱酸が不十分な為、鋳込み及び凝固中にガスが放出し火花を散らしながら外側から固まり、表面に「 リム層 」
という層ができます。リムとは「 ふち 」の事で、リムド鋼とはふち付鋼という意味です。
リムド鋼にはSWRCH10R等があり、安価な為、一般のボルトやナットに多く使用されています。
ねじ類に使用される鋼材は、要求される強度や希望の形状に加工できるよう、用途により様々な鋼種が存在
します。ここでは、代表的な鋼種と用途例をご紹介します。
名 称 | 規格番号 | 主な鋼種 | 製造方法・用途例 |
---|---|---|---|
一般構造用圧延鋼材 | JIS G 3101 | SS400 | リムド・セミキルド・キルド鋼より製造 アンカーボルト・アイボルト等 |
軟鋼線材 | JIS G 3505 | SWCH10 | リムド鋼より製造 リベット・割りピン等 |
冷間圧造用炭素鋼線材 | JIS G 3507 | SWRCH10 | リムド・セミキルド・キルド鋼より製造 ボルト・小ねじ・ナット等 |
機械構造用炭素鋼 | JIS G 4051 | S45C | キルド鋼より製造 高強度ボルト・高強度ナット等 |
クロムモリブデン鋼 | JIS G 4105 | SCM435 | キルド鋼より製造 高力ボルト・六角穴付きボルト等 |
ステンレス鋼の分類/ オーステナイト系/ フェライト系/ マルテンサイト系/ ステンレス鋼の磁性/
ステンレス鋼の焼き付き/ 一般熱処理の種類/ 表面熱処理の種類/ その他の熱処理/
鋼について/ 一般構造用圧延鋼材 “SS材”/軟鋼線材/機械構造用炭素鋼材/冷間圧造用炭素鋼線材/
硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材/機械構造用合金鋼鋼材/ばね鋼鋼材/炭素工具鋼鋼材/冷間圧延鋼板及び鋼帯/高温用合金鋼ボルト材/・・・近日掲載予定