冷間圧造用炭素鋼とは、鋼中に含まれる炭素量が、0.53%以下及びマンガン1.65%以下を含有する線材です。
SWRCH**# **は0.**%の炭素含有量を表し、
#は脱酸方法により、(R)リムド相当鋼・(K)キルド鋼に分類したり
アルミを0.02%以上添加し、(A)アルミキルド鋼に分類したりします。
リムド相当鋼 | 表面に低炭素のリム層(金属の外側の層)があるので、表面部の加工性が 良好であるが、加工後の均質な硬さを要求されるものには最適でない。 |
キルド鋼 | 均質度が高く機械的性質のバラツキが少なく内部性状が安定している。 |
アルミキルド鋼 | アルミによる窒素固定により加工硬化、歪時効硬化がおのおの軽減されるので |
●名 称 冷間圧造用炭素鋼 ●英 名 Carbon steels for cold heading
●規 格 JIS G 3507 ●主な鋼種 SWRCH10R・SWRCH16A・SWRCH18A・SWRCH45K
●用途例 小ネジ・ボルト・ナット・タッピング
種類の記号 | 分類 | C |
Si | Mn | P |
S | Al | |
SWRCH | 6R | リムド相当鋼 | 0.08以下 | - | 0.60以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | - |
8R | 0.10以下 | |||||||
10R | 0.08~0.13 | 0.30~0.60 | ||||||
12R | 0.10~0.15 | |||||||
15R | 0.13~0.18 | |||||||
17R | 0.15~0.20 | |||||||
6A | アルミキルド鋼 | 0.08以下 | 0.10以下 | 0.60以下 | 0.030以下 | 0.035以下 | 0.02以上 | |
8A | 0.10以下 | |||||||
10A | 0.08~0.13 | 0.30~0.60 | ||||||
12A | 0.10~0.15 | |||||||
15A | 0.13~0.18 | |||||||
16A | 0.13~0.18 | 0.60~0.90 | ||||||
18A | 0.15~0.20 | |||||||
19A | 0.15~0.20 | 0.70~1.00 | ||||||
20A | 0.18~0.23 | 0.30~0.60 | ||||||
22A | 0.18~0.23 | 0.70~1.00 | ||||||
25A | 0.22~0.28 | 0.30~0.60 | ||||||
10K | キルド鋼 | 0.08~0.13 | 0.10~0.35 | 0.30~0.60 | 0.030以下 | 0.035以下 | - | |
12K | 0.10~0.15 | |||||||
15K | 0.13~0.18 | |||||||
16K | 0.13~0.18 | 0.60~0.90 | ||||||
17K | 0.15~0.20 | 0.30~0.60 | ||||||
18K | 0.15~0.20 | 0.60~0.90 | ||||||
20K | 0.18~0.23 | 0.30~0.60 |
||||||
22K | 0.18~0.23 | 0.70~1.00 | ||||||
24K | 0.19~0.25 | 1.35~1.65 | ||||||
25K | 0.22~0.28 | 0.30~0.60 | ||||||
27K | 0.22~0.29 | 1.20~1.50 | ||||||
30K | 0.27~0.33 | 0.60~0.90 | ||||||
33K | 0.30~0.36 | |||||||
35K | 0.32~0.38 | |||||||
38K | 0.35~0.41 | |||||||
40K | 0.37~0.43 | |||||||
41K | 0.36~0.44 | 1.35~1.65 | ||||||
43K | 0.40~0.46 | 0.60~0.90 | ||||||
45K | 0.42~0.48 | |||||||
48K | 0.45~0.51 | |||||||
50K | 0.47~0.53 |
D工程=線材を冷間加工によって仕上げること。
種類の記号 |
機械的性質 |
(参考) 硬さHRB | ||
線径区分 mm |
引張強さ N/㎟ |
絞り % |
||
SWCH6R | 3以下 | 540 以上 | - | - |
SWCH8R | 3を超え 4以下 | 440 以上 | 45 以上 | |
SWCH10R | 4を超え 5以下 | 390 以上 | ||
SWCH6A | 5を超えるもの | 340 以上 | 85 以下 | |
SWCH8A | ||||
SWCH10A | ||||
SWCH12R | 3以下 | 590 以上 | - | - |
SWCH15R | 3を超え 4以下 | 490 以上 | 45 以上 | |
SWCH12A | 4を超え 5以下 | 410 以上 | ||
SWCH15A | 5を超えるもの | 360 以上 | 90 以下 | |
SWCH10K | ||||
SWCH12K | ||||
SWCH17R | 3以下 | 690 以上 | - | - |
SWCH16A | 3を超え 4以下 | 590 以上 | 45 以上 | |
SWCH18A | 4を超え 5以下 | 490 以上 | ||
SWCH20A | 5を超えるもの | 410 以上 | 92 以下 | |
SWCH15K | ||||
SWCH19A | 3以上 4以下 | 640 以上 | - | |
SWCH16K | 4を超え 5以下 | 540 以上 | ||
SWCH17K | 5を超え 30以下 | 440 以上 | 95 以下 | |
SWCH18K | - | |||
SWCH20K | ||||
SWCH22A | 3以上 4以下 | 690 以上 | ||
SWCH22K | 4を超え 5以下 | 570 以上 | ||
SWCH25A | 5を超えるもの | 470 以上 | 98 以下 | |
SWCH25K |
DA工程=線材を冷間加工後、焼鈍を行い、更に冷間加工によって仕上げるか
又は線材を焼鈍後、冷間加工によって仕上げることをいう。
種類の記号 |
機械的性質 |
(参考) 硬さHRB | |
引張強さ N/㎟ |
絞り % |
||
SWCH6R | 290 以上 | 55 以上 | 80 以下 |
SWCH8R | |||
SWCH10R | |||
SWCH6A | |||
SWCH8A | |||
SWCH10A | |||
SWCH12R | 340 以上 | 83 以下 | |
SWCH15R | |||
SWCH12A | |||
SWCH15A | |||
SWCH10K | |||
SWCH12K | |||
SWCH17R | 370 以上 | 85 以下 | |
SWCH16A | |||
SWCH18A | |||
SWCH20A | |||
SWCH15K | |||
SWCH19A | 410 以上 | 86 以下 | |
SWCH16K | |||
SWCH17A | |||
SWCH18K | |||
SWCH20K | |||
SWCH22K | 440 以上 | 88 以下 | |
SWCH25K | |||
SWCH24K | 470 以上 | 92 以下 | |
SWCH27K | |||
SWCH30K | 620 以下 | ||
SWCH33K | |||
SWCH35K | |||
SWCH38K | 670 以下 | 94 以下 | |
SWCH40K | |||
SWCH43K | |||
SWCH41K | 710 以下 | 97 以下 | |
SWCH45K | |||
SWCH48K | |||
SWCH50K |
SWRCH材の最終用途の殆どが、自動車の重要保安部品の大半を占めています。
部品生産までには、焼鈍・伸線・切削などの二次行程や熱間・冷間など広い温度域での成型工程、また焼入れ焼き戻し等の熱処理工程など様々な加工が施されています。ここで求められる大きなニーズは、加工工程の省略や成型時の金型寿命の工場による一貫コスト低減があります。
現在、SWCH45K等の中炭素鋼などを素材に圧延材に軟化焼鈍をし、成型し、焼入れ焼き戻しを行い製造されています。近年ではボルトの製造コスト削減の為、SWRCH45Kを“ボロン鋼”に置き換える動きが加速しています。ボロン鋼とは、素材の炭素量・合金元素量を低減し圧延材を軟質化させ、それに伴う焼入れ性を補う為、ボロンの添加で補った鋼である。材料コスト・製造コストを大幅に削減できることが特徴です。
しかし、圧延のままのボロン鋼の強度はSWRCH45Kの焼鈍強度までは軟質化せず、金型寿命向上のメリットが出せていなかったが、近年の研究により焼鈍済みの状態まで軟質化したボロン鋼の生産が可能となり、導入されています。
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