冷間圧延鋼板及び鋼帯とは、JIS G 3141に規定される鋼板又は鋼帯であり、みがき帯鋼(幅500mm未満で冷間圧延する鋼帯)及びみがき帯鋼からせん断した鋼板を含んでいます。加工性の良い板材として幅広い業種で使用されており、プレス加工等を施され様々な製品に姿を変え、市場に流通しています。
●名 称 冷間圧延鋼板及び鋼帯 ●英 名 Cold-reduced carbon steel sheet and strip
●規 格 JIS G 3141 ●主な鋼種 SPCC
●用途例 平座金・プレス加工品全般
冷間圧延鋼板及び鋼帯の種類は5種類とし、その記号は表1による。鋼板及び鋼帯には、調質区分及び表面仕上げ区分を設け、それぞれ表2及び表3による。
表1-種類の記号
種類の記号 | 摘要 |
SPCC | 一般用 |
SPCD | 絞り用 |
SPCE | 深絞り用 |
SPCF | 非時効性深絞り用 |
SPCG | 非時効性超深絞り用 |
備考1.SPCCの標準調質及び焼なましのままの鋼板及び鋼帯は、注文者の指定によって引張強さ及び伸びを保証する場合、種類の記号の末尾にTを付けてSPCCTとする。
備考2.SPCG は、通常IF鋼で製造する。なお、IF鋼とは、固溶するC及びNが極力少なくなる方法で製造した鋼をいう。
表2-調質区分
調質区分 | 調質記号 |
焼きなましのまま | A |
標準調質 | S |
1/8硬質 | 8 |
1/4硬質 | 4 |
1/2硬質 | 2 |
硬質 | 1 |
表3-表面仕上げ区分
表面仕上げ区分 | 表面仕上げ記号 | 摘要 |
ダル仕上げ | D | 物理的又は化学的に表面を粗くしたロールでつや消し仕上げしたもの。 |
ブライト仕上げ | B | 滑らかに仕上げたロールで平滑仕上げしたもの。 |
備考.焼なましのままの鋼板及び鋼帯には、表3の規定は、適用しない。
種類の記号 | C |
Mn | P | S |
SPCC | 0.15以下 | 0.60以下 | 0.100以下 | 0.035以下 |
SPCD | 0.10以下 | 0.50以下 | 0.040以下 | |
SPCE | 0.08以下 | 0.45以下 | 0.030以下 | 0.030以下 |
SPCF | 0.06以下 | |||
SPCG(1) | 0.02以下 | 0.25以下 | 0.020以下 | 0.020以下 |
必要に応じてこの表以外の合金元素を添加してもよい。 注(1)受渡当事者間の協定によって,Mn,P 又は S の上限値を変えてもよい。 |
注: 上記の規定は,1/8硬質,1/4硬質,1/2硬質及び硬質の鋼板及び鋼帯には適用しない。
種類の 記号 |
降伏点 又は 耐力 (N/㎜2) |
引張強さ (N/㎜2) |
伸び(%) | 引張 試験片 |
||||||
呼び厚さによる区分 (㎜) |
呼び厚さによる区分(㎜) | |||||||||
0.25以上 | 0.25以上 |
0.25以上 0.30未満 |
0.30以上 0.40未満 |
0.40以上 0.60未満 |
0.60以上 1.0未満 |
1.0以上 1.6未満 |
1.6以上 2.5未満 |
2.5以上 |
||
SPCC | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 5号 試験片 圧延 方向(3) |
SPCCT(2) | - | 270以上 | 28以上 | 31以上 | 34以上 | 36以上 | 37以上 | 38以上 | 39以上 | |
SPCD | (240以下) | 30以上 | 33以上 | 36以上 | 38以上 | 39以上 | 40以上 | 41以上 | ||
SPCE | (220以下) | 32以上 | 35以上 | 38以上 | 40以上 | 41以上 | 42以上 | 43以上 | ||
SPCF | (210以下) | - | - | 40以上 | 42以上 | 43以上 | 44以上 | 45以上 | ||
SPCG | (190以下) | - | - | 42以上 | 44以上 | 45以上 | 46以上 | - |
注(2) SPCCのうち、引張強さ及び伸びを保証するもの。
注(3) JISで規定される5号試験片が採取できない場合、試験片形状及び伸びは、受渡当事者間の協定による。
備考1. 厚さ0.60mm未満については、通常、引張試験を省略する。
備考2. 標準調質でブライト仕上げを行った鋼板及び鋼帯に対しては、伸びの規定は、適用しない。
備考3. SPCF 及び SPCG は、製造工場出荷後6ヶ月間、非時効性を保証する。
備考4. 降伏点又は耐力の括弧を付した上限値は、参考値であり、受渡当事者間の協定によって適用してもよい。
備考5. 1N/mm2 = 1MPa
SPCGの鋼板及び鋼帯はJISに定められた試験を行い、その平均塑性ひずみ比 r を、下記表 に示す。
平均塑性ひずみ比(r)
種類の記号 | 呼び厚さによる区分(㎜) | |||
0.50未満 | 0.50以上1.00以下 | 1.0を超え1.6以下 | 1.6を超え | |
SPCG | - | 1.4以上 | 1.3以上 | - |
冷間圧延とは再結晶を生じない温度範囲で、ロール間に材料を通して板厚を圧下減少させ、所定の形状にする塑性加工。
通常、冷間圧延は、粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延の3工程がある。
冷間圧延鋼板のプレス加工の場合、材料の薄板鋼板には均一な厚さや平面性といった材料の条件のほかに、プレス加工性として曲げ加工性・深絞り性・張り出し性の良さなども要求される。
SPCCは冷間圧延で製造される製品で、板材のみの規定となります。規定されている板厚は、t0.4~t3.2までです。SS400の代替材料として検討される場合もありますが、両者は製造方法、使用用途からいっても別物で注意が必要です。プレス加工メーカーで、「鉄板」といえば、SPCCを指す場合が多く、
加工性が良い為、板金加工等の板材を加工する場合においては比較的多く使われる材料です。
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