黄及び硫黄複合快削鋼鋼材とは、『非削性を向上させる為に炭素鋼に硫黄を添加、またはりん及び鉛を硫黄に複合して作られた快削鋼鋼材』と規定されています。 一般にSUM材と呼ばれており、通常の鉄鋼材料に比べて切削性や加工性に 優れた鋼材といえます。
●名 称 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材 ●英 名 Free-cutting steels
●規 格 JIS G 4804(2008) ●主な鋼種 SUM22
●用途例 テーパーピン・切削加工材料
種類及び記号とその成分
種類の記号 | C | Mn | P | S |
Pb |
SUM 21 | 0.13 以下 |
0.70~1.00 | 0.07~0.12 | 0.16~0.23 |
- |
SUM 22 | 0.24~0.33 | ||||
SUM 22L | 0.10~0.35 | ||||
SUM 23 | 0.09 以下 | 0.75~1.05 | 0.04~0.09 | 0.26~0.35 | - |
SUM 23L | 0.10~0.35 | ||||
SUM 24L | 0.15 以下 | 0.85~1.15 | |||
SUM 25 |
0.90~1.40 | 0.07~0.12 | 0.30~0.40 | - | |
SUM 31 |
0.14~0.20 |
1.00~1.30 |
0.040 以下 | 0.08~0.13 | |
SUM 31L |
0.10~0.35 | ||||
SUM 32 | 0.12~0.20 | 0.60~1.10 | 0.10~0.20 | - | |
SUM 41 | 0.32~0.39 | 1.35~1.65 | 0.08~0.13 | ||
SUM 42 | 0.37~0.45 | ||||
SUM 43 |
0.40~0.48 | 0.24~0.33 |
JISでは、快削鋼として適した材料を提供することに主眼を置いているため,硬さ及び機械的性質は規定していません。 その理由は、使用者側で実施される焼入焼戻し後の機械的性質は、設備及び焼入れ処理技術に大きく影響し、その機械的性質の規定値を規定するのはかえって誤解を招くおそれがあるためです。 一方、ISO 規格は熱処理後の材料特性まできめ細かく規定していますが、上記のように使用者の設備及び技術能力によって特性が異なるため、ISO 規格の一律の 値設定には問題があります。従って、JISでは硬さ及び機械的性質は規定していません。
硫黄やリン,鉛などの元素を添加すると、加工性が向上することから、SUM材は通常の鉄鋼材料に比べて切削性や加工性を改善した材料になります。SS400、SGD材に比べるとSUM材は特に切削がしやすい鋼材といえます。ただし、溶接、曲げ加工には不向きである。快削性元素(S、P、Pb)を単体で添加しているタイプと、複数を組み合わせているタイプとがあります。切削性を重視した材料は硫黄を添加している硫黄快削鋼、機械的性質を重視した場合は鉛を添加した鉛快削鋼といった分類が有ります。
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